第4回「専門家と一緒に進めるレガシープラン」
「人生最後の設計図は、信頼できるプロと一緒に」
レガシープランニングは、人生を振り返り、想いを未来へとつなげる“感情の整理”であると同時に、
法律・税務・制度と向き合う“実務的な作業”でもあります。
財産の分配、遺言書の作成、家族信託の設計、相続税の対策……
これらを独力で進めようとすると、制度の壁、書式の違い、思わぬリスクに直面することもあります。
そこで必要になるのが、「専門家とのチーム構築」です。
本記事では、レガシープランを支える専門家の役割と、その活用方法を丁寧に解説します。
■ 専門家は“手続き代行者”ではなく、“人生設計の伴走者”
「専門家=書類を作ってくれる人」と思われがちですが、
レガシープランにおいての専門家は、あなたの人生の「通訳」であり、「橋渡し役」でもあります。
あなたの想いや希望を法的に守れる形に変換し、
その実現までを並走してくれる存在。それが、信頼できる専門家の姿です。
■ 行政書士の役割:手続き・文書化のスペシャリスト
行政書士は、遺言書・家族信託・エンディングノート・財産目録など、
**「意思を文書にする」「計画を制度に落とし込む」**ための専門家です。
主なサポート内容:
• 自筆証書遺言・公正証書遺言の原案作成
• 家族信託契約書の設計支援
• エンディングノートやレガシー手紙の内容構成アドバイス
• 行政手続きや戸籍の取得代行
依頼のタイミング:
• 想いを言語化したいとき
• 書類作成や法的形式で悩んでいるとき
• 信託や遺言書の草案を作りたいとき
特に感情や意思を「やわらかく」「伝わる」形に整える点で、
行政書士は非常に心強いパートナーとなります。
■ 司法書士の役割:不動産と登記の専門家
司法書士は、不動産・相続登記・家族信託の登記処理などにおいて大きな力を発揮します。
主なサポート内容:
• 不動産名義変更(相続登記)
• 家族信託における不動産の名義移転
• 遺言執行者としての対応
• 成年後見制度の申立書作成
不動産を遺す場合、相続登記が義務化された2024年以降は司法書士の支援が特に重要です。
依頼のタイミング:
• 不動産の分配計画を立てたいとき
• 家族信託を不動産に適用したいとき
• 相続登記の実務に不安があるとき
■ 弁護士の役割:紛争防止・法的トラブルへの備え
弁護士は、トラブルを未然に防ぎ、また実際に起きた際の解決を担う法の番人です。
主なサポート内容:
• 遺言の無効リスクへの対策(遺留分・特別受益など)
• 親族間で争いが起きそうなケースのリスク分析
• 信託や贈与契約の法的リスクチェック
• 相続放棄や遺産分割協議のサポート
依頼のタイミング:
• 家族間の関係に不安があるとき
• 過去に贈与や不公平があった場合
• 相続争いが起きる可能性があると感じるとき
法的トラブルの「予防法務」としての役割にこそ、弁護士の力が活きます。
■ 税理士の役割:税金の最適化とリスクヘッジ
税理士は、相続税や贈与税の試算と対策において不可欠な存在です。
主なサポート内容:
• 相続税の概算計算
• 生前贈与や保険を活用した節税設計
• 相続税申告・納税の代理業務
• 不動産や法人株式などの評価
依頼のタイミング:
• 相続税が発生する可能性があるとき
• 節税をしながら計画的に資産を渡したいとき
• 法人・事業承継を含む財産を持つとき
相続税対策は「10年単位」での準備が鍵を握ることもあります。
■ 専門家とどう連携するか──“主役はあなただからこそ”
レガシープランニングでは、専門家にすべてを「丸投げ」するのではなく、
自分の「想い」を核に、各専門家が補助輪になるイメージが理想です。
たとえば:
• 想いを言語化 → 行政書士と遺言・信託設計へ
• 不動産の分配を明確化 → 司法書士へ登記相談
• 相続税の試算 → 税理士とともにプラン精査
• リスクがあれば → 弁護士に検証依頼
このように、目的に応じて必要なパートナーを選び、必要な時に頼ることで、
レガシープランはより安全で、希望通りの形に近づいていきます。
まとめ:人生を“翻訳”してくれる専門家と、安心を築く
レガシープランニングとは、「感情」と「法律」、「想い」と「手続き」の間にある橋をかける作業です。
その橋を一緒に設計してくれる専門家との連携こそが、あなたの計画を確かなものにします。
専門家に相談することは、「弱さ」ではありません。
それは「家族を守るという強さ」の表れであり、あなたの人生を未来へつなぐ手段です。