2025/7/2
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弁護士に相談しても「戦えない」と言われた現実 |
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第4章:弁護士に相談しても「戦えない」と言われた現実
法律の専門家である弁護士でさえ、家賃滞納による明け渡し事案では悲観的な見通しを示すことが少なくありません。今回のケースでも、被告の高齢女性は困り果てて法律相談に駆け込みましたが、複数の弁護士から「滞納が事実なら正直、法廷で争うのは難しい」と告げられたといいます。 なぜなら前章で述べたように、裁判実務上3ヶ月程度の滞納があれば解除が認められるのが一般的でありaube-fudosan.com、その反証には相当の法的知識と証拠が必要になるためです。
「払えなかった事情」を情に訴えても、それだけでは法律的な反論にはなりません。また、生活保護を受給しているような経済状況では勝訴しても弁護士費用すら賄えない懸念があり、弁護士側も採算を考えると積極的に受任しにくい現実があります。 実際、近年の判例を見ても借主側が弁護士を付けず有効な主張ができなかったために敗訴した例がありますaube-fudosan.com。
逆に言えば、専門家による緻密な反論や事実関係の主張がなければ、裁判所は貸主の言い分をそのまま認めてしまう傾向が強いということですaube-fudosan.com。
経済的・精神的に追い詰められている借主ほど、裁判で十分な対応を取れず欠席判決を受けてしまうケースも多々ありますgentosha-go.com。前章で触れた73歳男性の例でも、彼は答弁書も提出せず出廷もしなかったため、わずか1回の審理で結審し明け渡し判決が言い渡されていますchintai-bengoshi.com。 高齢ゆえに裁判所に出向くこと自体が困難だったり、手続を理解できなかったりする事情も考えられますが、結果として**「滞納=敗訴=退去」は既定路線**となりがちなのです。
「戦えない」と言われた借主に残された道は、和解による時間稼ぎや自主的な退去です。 多くの弁護士は「判決で争うより、和解交渉で少しでも有利な条件(引越し猶予期間や立退料)を引き出す方が現実的」とアドバイスします。 裁判になってしまうと判決確定後は数週間で強制執行の手続きに移行できてしまうためvs-group.jp、早期に任意退去の期限を取り決める和解をすることで、少なくとも路頭に迷うリスクを下げようとするのです。
もっとも、そうした和解策ですら、借主に新居のあてや引越費用の目処が立たなければ絵に描いた餅です。経済的・社会的弱者である高齢者ほど、自力で「軟着陸」の段取りをつけるのは難しいのが実情でしょう。
法律的な観点から見れば、滞納が事実である以上は完全な勝訴(=契約継続)は困難であり、現行法のもとでは弁護士にも限界があります。 しかし、それでもなお本件のようなケースで見過ごせないのは、判決によって賃借人が被る生活破壊的な不利益の大きさです。たとえ法廷で「戦えない」状況であっても、このまま泣き寝入りさせてよいのかという疑問が残ります。
**司法に携わる者として本来あるべき姿は、弱い立場の人々を見捨てず救済策を模索することではないでしょうか。
**次章では、裁判所に期待したい人道的な判断や配慮について考えてみます。
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