2025/7/1

明け渡し請求をめぐる高齢者の住まいと権利の実情と法的論点

 

はじめまして ―となりの行政書士として

 

このブログでは、「となりの行政書士」として、制度のすき間に置き去りにされた人々の声を伝えていきたいと思っています。

 

行政書士というと、「手続きの専門家」というイメージを持たれがちですが、私が日々出会うのは、社会の中でこぼれ落ちそうになっている人たちばかりです。

法律や制度は確かに存在しているのに、なぜか届かない。その“なぜ”を見つめるために、この記録を始めました。

 

「家賃を払っていても、出ていけと言われる」――そんな現実が、いまこの国のどこかで静かに進行しています。

 

高齢化が進む日本社会において、長年住み慣れた家からの立ち退きを迫られる高齢者が増えています。

note記事「追い出される高齢者」は、そのうちの一人による裁判闘争を通じて、「住まい」をめぐる人間の尊厳と法のあり方に深い問いを投げかけています。

 

住まいは単なる「物件」ではなく、人が人生を営む場です。年齢を重ねるほどに、そこは「居場所」としての意味を増していきます。にもかかわらず、賃料の遅延や管理側の都合を理由に、信頼関係の破綻を名目とした明け渡し請求がなされる現実があります。

 

借地借家法第28条には、「事情により裁判所が相当と認めるときは、契約の更新を拒むことができない」と定められていますが、この条文は果たして、高齢者の住まいの安定にどれだけ機能しているのでしょうか。明け渡し訴訟の増加は、法的保護の限界と、社会の冷たさを映す鏡のようです。

 

私たちは、「老いて住まいを失う」ことを、本当に自己責任で片づけてよいのでしょうか。

このコラムでは、明け渡し請求に直面する高齢者の実情と、そこに横たわる法的・社会的・人道的課題を、多角的に掘り下げていきます。

 

第1章予告テーマこの事件は「特殊」ではない──誰にでも起こり得る明け渡し請求