認知症による資産凍結と家族信託の活用
1. 事例の背景
Aさん(75歳・不動産オーナー)は、地方都市に複数の賃貸物件を所有していました。長男夫婦が近くに住んでおり、普段の生活もサポートしていましたが、Aさんが徐々に認知症を発症。銀行口座の凍結や、不動産管理の契約が難しくなることが懸念されていました。
2. 認知症による資産凍結のリスク
認知症が進行すると、本人の判断能力が低下し、
- 預金口座の解約や送金
- 不動産の売却・賃貸契約
- 投資や資産運用
といった行為ができなくなります。
その結果、家族が必要な資金を引き出せず、介護費用や修繕費の支払いに支障が出るケースもあります。
3. 家族信託による解決策
そこで活用されたのが 家族信託 です。
- Aさん(委託者)が所有する賃貸物件を長男(受託者)に信託
- 賃料収入や売却益はAさん(受益者)が受け取る
- 管理・修繕・賃貸契約は長男が代わりに行える
これにより、Aさんが認知症で判断能力を失った後も、家族がスムーズに財産管理を継続できる体制が整いました。
4. 成年後見制度との違い
同じように認知症対策としては成年後見制度もありますが、成年後見では不動産の売却などは裁判所の許可が必要であり、柔軟性に欠けます。
家族信託であれば、あらかじめ契約に盛り込むことで円滑な管理が可能です。
5. 専門家の関与の重要性
家族信託は自由度が高い分、契約内容に不備があると想定外のトラブルに発展します。
実際、Aさんのケースでも、行政書士が信託契約の文案作成をサポートし、司法書士と連携して信託登記まで完了しました。
6. まとめ
認知症対策としての家族信託は、資産凍結のリスクを避ける有効な手段です。
「まだ元気だから大丈夫」と思っている間に準備しておくことで、本人の生活と家族の安心を守ることができます。
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