遺産分割で家族が壊れないために
――話し合いの「ルール」を整えることが、争いを防ぐ第一歩
1. 事例の背景
Bさん(80歳・女性)は夫に先立たれ、3人の子どもがいました。
長男は実家の近くで暮らし、次男は県外に転勤、長女は結婚後、別世帯を構えています。
夫名義の不動産と預貯金が主な遺産でしたが、遺言はありませんでした。
葬儀後、「どう分けるか」の話し合いが始まった途端、空気が変わります。
長男は「これまで実家を守ってきた自分が不動産を相続するべき」と主張。
一方で長女と次男は「金銭的に公平でなければ納得できない」と反発しました。
感情のぶつかり合いが続き、ついには連絡も取れなくなってしまいました。
2. なぜ遺産分割は家族を壊すのか
相続のトラブルの約7割が「遺産分割協議」に関するものです。
争いの原因は金額の問題だけでなく、“感情”と“認識のズレ” にあります。
「介護をした・していない」
「仕送りしてもらった・もらっていない」
「親の財産を誰が守ってきたか」
「実家の不動産の価値をどう評価するか」
つまり、法律上の割合(法定相続分)だけでは解決できない「心のバランス」が問題なのです。
3. 行政書士によるサポート内容
清和行政書士事務所では、Bさんのご家族に次のような支援を行いました。
財産目録の作成
預金・不動産・保険・有価証券などを一覧化し、「見える化」。相続関係説明図の作成
戸籍をすべて収集し、相続人を明確化。話し合いの進行サポート
感情的な対立を避けるため、行政書士が「中立の立場」で議事進行。遺産分割協議書の作成
合意内容を正確に文書化し、登記・銀行提出に使える形で完成。
これにより、家族全員が「公平感を持って納得できる合意」に至り、関係修復の糸口をつかむことができました。
4. トラブルを防ぐためにできること
遺言を残す:親が明確な意思を示しておくことが最も効果的。
生前贈与の記録を残す:後で「不公平だ」と言われないように。
財産の“見える化”:不動産や預金を家族で共有し、情報の非対称をなくす。
専門家を交える:家族だけで話すと感情が優先されがち。第三者の同席が冷静さを保つ。
5. まとめ
相続は「法律の問題」であると同時に、「家族関係の問題」でもあります。
遺産分割で家族が壊れないためには、“法的な正しさ”より“納得できる手順” が大切です。
行政書士は、法的書類を作るだけでなく、話し合いの調整役・安心の橋渡し役 として関わることができます。
家族の絆を守る相続を実現するために、まずは早い段階でご相談ください。



