遺留分侵害額請求の対応
――「想定外の請求」にどう向き合うか
- 事例の背景
Iさん(55歳・男性)は、2年前に亡くなった父の遺言により、
実家と事業用の土地・預金をほぼすべて相続しました。
父は生前から「家業を継ぐのはお前(長男)だから、財産は任せる」と明言しており、
公正証書遺言でもその意思が明確に記されていました。
ところが、相続から半年後――
妹から内容証明郵便が届きました。
そこには「遺留分侵害額請求書」の文字が。
「父が長男にすべてを相続させるのは不当だ」として、
妹は自分の取り分(遺留分)を金銭で請求してきたのです。
- 遺留分侵害額請求とは
遺留分とは、相続人が法律上保証される「最低限の取り分」です。
たとえ遺言で財産の全てを特定の相続人に譲ると書かれていても、
他の相続人は侵害された遺留分を金銭で請求できます。
請求期限は、
- 「侵害を知った時から1年以内」
- 「相続開始から10年以内」
であり、期限を過ぎると請求はできません。
- Iさんが直面した課題
Iさんは遺言書の内容が「合法的」だと信じていました。
しかし、遺留分は法律上強く保護されているため、
「有効な遺言=遺留分を無視できる」ではないという現実を突きつけられます。
- 妹は「法定相続分の1/2にあたる金額」を請求
- Iさんは事業資金や住宅ローンも抱えており、即時の支払いが難しい
- 話し合いが進まないまま、弁護士を通じて正式請求に発展
感情的な対立が深まり、家族間の関係は悪化していきました。
- 行政書士によるサポート内容
清和行政書士事務所では、Iさんからの相談を受け、次のように対応しました。
- 遺留分の金額を正確に算定
不動産・預金・生命保険などを評価し、侵害額を客観的に計算。
- 支払い方法の調整案を提示
分割払い・物納(不動産の共有化)など、現実的な解決方法を提案。
- 合意書(和解書)の作成支援
将来の紛争防止のため、合意内容を文書化。
- 家族関係の再構築を支援
感情的な行き違いを整理し、「父の意思」と「妹の権利」を両立する方向で調整。
最終的に、妹との間で「遺留分の一部を分割払いで支払う」ことで和解成立。
Iさんは事業を守りつつ、家族関係の修復にもつながりました。
- 遺留分トラブルを防ぐために
対策 | 内容 | 効果 |
生前に説明 | 被相続人が遺言内容を家族に伝える | 不信感を防ぐ |
遺言に付言事項を加える | 感謝・意図を明記 | 遺留分請求を抑止しやすい |
財産評価を明確に | 争点を減らす | 交渉がスムーズに |
専門家の関与 | 第三者が間に入る | 感情的対立を緩和 |
遺留分問題は、「金額の争い」ではなく「心のわだかまり」から始まることが多いのです。
- まとめ
遺留分侵害額請求は、遺言の有効・無効とは関係なく発生する法的権利です。
しかし、対応を誤ると家族関係が決定的に壊れる可能性もあります。
行政書士は、
- 請求書や回答書の文案整理
- 金額算定と支払い調整
- 和解書・合意書の作成支援
を通じて、法律と家族感情の間をつなぐ役割を果たします。
「どう答えればいいかわからない」「弁護士を入れる前に整理したい」――
そんな段階でのご相談こそ、最も効果的です。
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