公正証書遺言作成のトラブル対応
――「安心のはずの公正証書」で起こった落とし穴とは
- 事例の背景
Cさん(78歳・男性)は、妻と2人暮らし。
相続をめぐる“争族”を避けるため、「公正証書遺言を作れば安心」と考え、近くの公証役場で遺言を作成しました。
ところが、数年後に体調を崩し、長男に遺言内容を確認してもらったところ、「本人の意図と異なる内容」 が記載されていたことが判明。
しかも、遺言作成時に十分な説明がなされず、証人が知人に偏っていたことも後から問題視されました。
「公正証書にしておけば完璧」と思っていたCさん一家は、大きな不安に直面したのです。
- 公正証書遺言とは
公証人が本人の意思を確認し、公証役場で作成・保管する遺言書で、
- 形式不備のリスクが低い
- 裁判で証拠力が高い
- 家庭裁判所の検認が不要
という点で、最も確実な遺言形式とされています。
しかし、その信頼性に安心しきってしまうと、作成過程での「確認不足」や「意思の伝達ミス」 が盲点になります。
- トラブルの原因
Cさんのケースで問題となったのは、次の3点でした。
- 公証人への説明が不十分
口頭で大まかな内容を伝えただけで、細かい希望(財産の分け方・付言事項)が反映されていなかった。
- 証人が形式的
知人2名が立ち会ったが、遺言内容を理解していなかったため、後の紛争時に説明できず。
- 家族への共有不足
「遺言を作った」とだけ伝え、内容を誰も知らなかったため、死後に疑念が生まれた。
結果として、次男が「父の真意ではない」と主張し、家庭内の不信が深まりました。
- 行政書士によるサポート内容
清和行政書士事務所では、Cさん一家からの相談を受け、
- 公証人と再打合せのうえで再作成を提案
- 本人の意思確認メモ・財産目録を事前に文書化
- 付言事項(家族への思い) を適切に追加
- 証人を家族外の中立者に変更
というプロセスをサポートしました。
最終的に、Cさんの真意が正確に反映された新しい遺言が完成し、家族間の不信も解消。
- 公正証書遺言のトラブルを防ぐために
- 事前準備がすべて:財産の洗い出し、相続人との関係整理を行う。
- 意思を「文書」で残す:口頭ではなく、行政書士が整理した「遺言案文」をもとに公証人へ。
- 証人選びを慎重に:利害関係のない中立者を選ぶ。
- 作成後の共有:家族に「作成した」ことだけでなく、内容や保管場所を明示する。
- まとめ
「公正証書遺言=安心」とは限りません。
制度としては優れていても、本人の意思確認や準備の質が低ければ、結果的に“形式だけの安心”に終わることがあります。
行政書士は、
- 本人の真意の整理
- 公証人との橋渡し
- 文案・付言事項の作成支援
を通じて、“本当に伝わる遺言”を実現する専門家です。
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