生前対策:認知症と生前対策──家族を守る“もしも”の準備(2025年最新版)

認知症は「突然」ではなく、兆候→初期→進行→重度と段階的に進みます。家族が安心して支え合うためには、安全・お金・書類・役割分担を早期に整えることが重要です。
本記事は、段階別のやることリストと、任意後見・家族信託などの法的・契約面の手当、介護・医療との連携、詐欺や事故の予防までを実務目線でまとめています。


1. 段階別ロードマップ(何を・いつやるか)

① 兆候期(物忘れが気になる段階)

  • 主治医・地域包括支援センターへ相談、簡易チェックを実施。
  • 重要書類の所在確認:保険・不動産・通帳・キャッシュカード・印鑑・年金通知 等。
  • 家計の見える化:口座一覧・固定費一覧・ID/パスワードの棚卸し(安全な保管)。
  • 役割分担の素案:連絡網・車の運転・通院同行・買い物・財産管理の担当を仮決め。
  • 家族信託任意後見の検討開始(面談予約)。

② 初期(診断直後〜日常に軽度の支障)

  • 任意後見契約(公正証書)や見守り契約・任意代理契約を整える。
  • 家族信託の素案作成:受託者・権限・同意要件・帳簿・報告先を設計。
  • 生活安全の整備:服薬管理、見守り、運転の見直し、緊急連絡カードの作成。
  • 資産の分離とルール化:生活用口座/貯蓄口座を明確化し、限度額・承認ルールを設定。
  • 悪質商法対策:訪問販売・架空請求のブロック手順を家族で共有。

③ 進行期(日常生活に明確な支障)

  • 介護サービス・ケアマネとの連携強化。デイ・ショート・施設検討。
  • 必要に応じて法定後見(補助・保佐・後見)を検討、家庭裁判所の手続を準備。
  • 不動産・口座の実務:売却・解約・施設費支払などを、契約・権限に沿って実行。
  • 事故・転倒リスクの低減:住宅改修・見守り機器の導入。

④ 重度(常時介護)

  • 収支の定期点検:施設費・医療費の原資確保、保険の活用状況の見直し。
  • 家族の負担軽減:レスパイト、外部サービスの拡充。
  • 終末期の希望・死後事務の共有:葬送、連絡先、解約手続の段取り。

2. 72時間クイックアクション(まず最初の3日)

  1. 重要書類・カード・印鑑の所在確認と安全保管(家族も把握)。
  2. 口座一覧と固定費の洗い出し(引落し先・医療保険・介護保険をメモ)。
  3. 連絡網の作成(家族・主治医・ケアマネ・行政窓口)。
  4. 初回面談の予約:任意後見/家族信託の相談、介護保険申請の段取り。

3. 法的・契約の手当(組み合わせがカギ)

  • 任意後見契約:将来の代理権を定め、必要時に監督人選任で発効。
  • 見守り契約・任意代理契約:任意後見の前段階。日常の支援を契約で担保。
  • 家族信託:資産の管理・処分を受託者に託し、生活費の支払い・不動産の管理を継続。
  • 遺言/死後事務委任:二次相続・死後の手続をスムーズに。

※ どれか一つではなく、目的に応じて多層的に組み合わせるのが実務的です。


4. お金の守り方(口座・支払い・記録)

  • 生活・介護費用の支払い口座を一本化し、代理権・承認ルールを明確化。
  • カード・通帳・印鑑は役割に応じて保管者を決め、持ち出し制限を設定。
  • 毎月の帳簿・領収書をクラウドに保存(家族・受託者・後見人で共有)。
  • 定期的に「残高・出金・契約更新」の確認日を決め、報告先を固定。

5. 医療・介護との連携

  • 主治医・ケアマネ・地域包括と定例ミーティング(オンライン可)を設定。
  • 服薬・通院・緊急時の連絡手順をカード化し、家族と共有。
  • 施設・サービスの比較表を作成し、費用・空き状況・立地を評価。

6. 必要書類・データ(チェックリスト)

  • 本人確認・保険証・介護保険証・障害者手帳 等
  • 資産一覧:通帳写し・証券・保険・不動産資料
  • 契約書:任意後見/見守り・任意代理/家族信託/遺言/死後事務委任
  • 連絡網:家族・主治医・ケアマネ・行政・金融機関・保険会社
  • 家族会議の議事録・役割分担表・意思確認メモ(付言事項)

7. よくある落とし穴と対策

  • 発症後の駆け込みで口座が止まる → 兆候期から任意後見・家族信託を準備。
  • 同意要件が複雑で意思決定が進まない → 重要行為だけ同意。原則は担当者単独決裁。
  • 記録・証跡が残らない → 帳簿テンプレ・クラウド保管・共有先の固定。
  • 訪問販売・詐欺の被害 → 玄関・電話のルール化、留守電設定、家族への自動通知。
  • 家族間の納得不足 → 議事録・説明メモ・第三者同席での合意形成。

8. よくある質問(FAQ)

Q. どの段階から準備を始めるべき?
      兆候期から書類の整理と連絡網、任意後見・家族信託の検討を開始するのが安全で
      す。
Q. 家族信託と任意後見の違いは?
     資産管理・処分の柔軟性は家族信託、身上監護や公的手続の担保は後見が得意。併用
     が現実的です。
Q. 不動産の売却や施設費の支払いは誰が決める?
      契約で決めた受託者や後見人が、定めた同意要件・帳簿ルールに従って実行します。
Q. 費用はどのくらいかかる?
      契約書作成・公証・登記・専門家費用・施設費などで個別差があります。初回相談で
      目安を提示します。
Q. 家族が遠方で集まりづらい…
     オンライン会議・共有フォルダで運用。承認はメール・チャットでログを残す方法が
      実務的です。

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※ 本記事は一般解説です。制度・運用は地域や事案により異なります。最新の公的情報を確認のうえ、専門家へご相談ください。

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