生前対策:遺産分割で家族が壊れないために(2025年最新版)

相続は「正しさ」だけでなく納得感が鍵です。
本記事は、実例を踏まえた争点整理→合意形成→合意書作成→実行の流れ、よくある落とし穴、特に揉めやすい不動産・自社株・使途不明金の扱いを、チェックリストと文例ヒント付きで解説します。


1. まず把握するべき「争点」

  • 相続人と相続関係:戸籍一式で確定。相関図を作る。
  • 遺産の範囲と評価:不動産・預貯金・証券・保険・債務・デジタル資産。
  • 特別受益:生前贈与や学費・住宅資金の扱い。
  • 寄与分:療養看護・事業手伝い等の貢献評価。
  • 使途不明金:生前の出金記録。通帳・カードの管理実態を確認。

2. 進め方の基本(合意形成フレーム)

  1. 事実の共有:相続関係・遺産一覧・評価方法・債務を全員で同じ資料で確認。
  2. 争点の棚卸し:特別受益/寄与分/使途不明金を分けて論点表に。
  3. たたき台の提示:2〜3案(売却案・代償分割案・現物分割案)を数字で示す。
  4. 中間合意:合意できる部分から文書化して積み上げ、未合意点を狭める。
  5. 最終合意→合意書:日付・分配・実行期限・費用負担・連絡方法を明記。

3. 実務チェックリスト(共有して使える)

  • □ 戸籍一式・相続関係説明図を作成した
  • □ 遺産目録(評価資料付き)を作成した
  • □ 特別受益・寄与分の主張と根拠資料を整理した
  • □ 代償分割の資金計画(原資・送金時期)を作成した
  • □ 会議の議事録・合意事項メモを各回作成した
  • □ 最終合意書の条項案(下記)をレビューした

4. 合意書の条項例(ヒント)

  • 第1条(目的) 本合意は、被相続人○○の遺産分割につき最終的な合意内容を定めることを目的とする。
  • 第2条(分割内容) 不動産Aは相続人甲が取得し、相続人甲は相続人乙・丙に対し各○○円を令和○年○月○日までに支払う。
  • 第3条(費用負担) 登記・金融機関手続・評価費用は原則相続財産から支出し、不足分は各自の負担とする。
  • 第4条(清算・相殺) 本合意に定める支払は、互いに他の請求権に優先し、履行完了をもって清算する。
  • 第5条(紛争解決) 協議により解決し難い場合は、○○簡易裁判所を管轄とする。

※ テンプレは下書き用。最終版は事案に合わせて必ず調整してください。


5. 揉めやすい論点の実務ポイント

5-1. 不動産(共有回避・評価・費用)

  • 原則:共有は避ける。売却 or 代償分割(買い取れる人が代償金を支払う)。
  • 評価方法:固定資産評価・路線価・不動産査定の併用で幅を把握。
  • 付随費用:測量・境界・リフォーム・仲介手数料・登記費用は事前に見積り。

5-2. 預貯金・証券・保険

  • 通帳・明細を時系列で整理。生前出金の説明資料を用意。
  • 証券は基準日を合わせて評価。生命保険は受取人設計を再確認。

5-3. 自社株・事業資産

  • 評価方法の選択(配当還元・類似業種比準等)の影響が大きい。
  • 議決権・役員構成・株主間契約を連動させ、支配構造を明確に。

5-4. 特別受益・寄与分

  • 証拠が命:送金記録・契約書・領収書・介護日誌など。
  • 数字と期間を揃えて比較。感情論に入る前に事実を整える。

6. 交渉を壊さない5つのルール

  1. 非難より情報:主張の前に資料を共有する。
  2. 代替案を複数:金銭・不動産・動産の組合せで複数案(MESO)を提示。
  3. 小さな合意から:合意できる点を文書化して積み上げる。
  4. 期限と役割:誰がいつ何をするか、タスク表に落とす。
  5. 議事録:各回の到達点・宿題・次回日程を簡潔に残す。

7. 必要書類(チェックリスト)

  • 戸籍一式・相続関係説明図
  • 遺産目録:不動産評価、残高証明、証券残高、保険契約 等
  • 通帳写し・出金記録・領収書(使途不明金対策)
  • 見積書(測量・リフォーム・仲介・登記等)
  • 合意書案・委任状・実行スケジュール表

8. よくある質問(FAQ)

Q. 兄弟が納得しません。何から手をつけるべき?
      事実資料(目録・評価・出金記録)を揃え、複数案を数字で提示。第三者専門家の同
      席も有効です。
Q. 不動産はどう分けるのが良い?
      共有回避が原則。売却または代償分割を検討し、費用と期限を合意書に明記します。
Q. 特別受益・寄与分はどう決める?
     根拠資料と期間を揃えて比較。ゼロイチでなく、妥当な調整金を探る発想が現実的で 
     す。
Q. 調停や審判に進むタイミングは?
       資料共有が尽くされず交渉が停滞、または期限(税務・登記)が迫る場合。準備資料
      を整えて臨みます。
Q. 合意後に揉め直すのを避けるには?
     支払期限・遅延時の扱い・費用負担・連絡手段を条項で明確化し、実行スケジュール
     を同時に配布します。

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※ 本記事は一般解説です。評価・税務・手続は事案により異なります。最終判断は専門家へご相談ください。

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