2025/8/11
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「養育費はきちんと払われるの?」不安だったあの日のこと |
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◆ 支払いは本当に続くのか 「養育費は、ちゃんと払ってもらえるんでしょうか?」 これは、離婚相談の中で本当によく聞かれる質問です。 離婚に合意しても、養育費の不払いは珍しくありません。 統計によると、取り決めをしても途中で支払いが止まるケースは少なくなく、実際に私のもとにも「払われなくなった」という相談が何度も寄せられます。 ある女性の相談は、まさにその不安の中にありました。 小さな子どもを育てながら、パートで生計を立てる日々。離婚の話し合いでは元夫が「養育費は払う」と約束してくれたけれど、口約束だけ。それが本当に守られるのか、毎晩眠れない日が続いていたそうです。 ◆ 口約束の落とし穴 養育費の不払いが起こる理由はさまざまです。 相手の経済的事情の変化、再婚、感情のもつれ…。しかし大きな原因のひとつは、取り決めを文書化していないことです。 「信じたい」という気持ちは自然ですし、離婚直後は感情的なやり取りを避けたい思いも強くなります。 ですが、法的な拘束力を持たない口約束では、支払いが止まったときに請求する手段が限られてしまいます。 相談に来られた彼女も、「まさか払ってもらえなくなるなんて考えてもみなかった」と話してくれました。 ◆ 公正証書という“盾” そこで私がまず提案したのは、離婚協議書を作成し、公正証書にしておくことでした。 公正証書には「強制執行認諾文言」を入れることができ、もし支払いが止まっても裁判を起こさずに給与や預金を差し押さえることができます。 この説明をしたとき、彼女は少し驚いた表情をしていました。 「そんな方法があるなんて知りませんでした。もっと早く知っていれば…」と。 公正証書は作成に手間や費用がかかりますが、それ以上に安心を得られるという大きな価値があります。 ◆ 将来を見据えるための視点 養育費は、子どもの成長に合わせて10年以上続くことも珍しくありません。 その間には、学校進学や医療費、習い事など、予想外の出費が出てきます。 取り決めの段階で、 • 支払期間(原則20歳までが多いが、高校・大学進学も考慮) • 支払い方法(振込日・口座) • 特別な費用(進学や病気のときの分担) • 金額の見直し条件(収入変動や物価変動) といった具体的な項目を明記しておくことは、後々のトラブルを防ぐために欠かせません。 ◆ 男性支援者としてできること 私は男性行政書士ですが、女性からの養育費相談を多く受けてきました。 「男性だから分からない」と思われるかもしれません。 しかし、当事者の感情を尊重しながら、第三者として事実を整理し、“どうすれば支払いが確実に行われるか”という現実的な手段を提案することはできます。 感情的なやり取りが続くと、話し合いは進まず、約束も不明確なままになります。 だからこそ、外部の専門家が間に入り、冷静な土台をつくることが重要だと感じます。 ◆ 不安を放置しないで 「養育費が払われなかったらどうしよう」と思いながら過ごす日々は、心身の負担になります。 不安は放置するほど大きくなり、やがて「請求するのも疲れた」と諦めてしまうケースも少なくありません。 けれど、法律の仕組みを正しく使えば、その不安を小さくすることはできます。 そしてそれは、あなたと子どもが安心して暮らしていくための“準備”です。 ◆ 最後に 養育費は、親としての責任であり、子どもの権利です。 「払ってもらえなかったら…」という不安を抱えたままにせず、具体的な方法で守っていくことが大切です。 もし今、その不安を抱えているなら、まずは状況をお聞かせください。 どんな段階からでも、一緒に整理し、最善の方法を探すお手伝いをします。 |
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