相続の失敗事例から考える
― 知らなかったでは済まされない判断の分かれ道 ―
相続の相談現場では、
「まさか自分の家族がこうなるとは思わなかった」
という言葉を耳にすることが少なくありません。
以下の事例は、
特定の家庭や人物を示すものではありません。
実際に多く見られる判断の傾向を整理したものです。
事例①
「何もしなかった」ことが、家族関係を壊したケース
被相続人は、
「家族は仲が良いから大丈夫」と考え、
遺言や生前対策を行わないまま亡くなりました。
相続が発生すると、
相続人同士で話し合いが始まりましたが、
それぞれが「当然だと思っていた前提」が異なっていました。
結果として、
感情的な対立が深まり、
遺産分割協議は長期化。
家族関係は元に戻らなくなってしまいました。
問題は財産の額ではなく、
判断を残さなかったことでした。
事例②
書式だけを真似して遺言を作成したケース
インターネットで見つけた雛形をもとに、
被相続人は自筆で遺言を作成しました。
形式上は遺言の体裁を整えていましたが、
内容の一部が曖昧で、
解釈をめぐって相続人の意見が分かれました。
結果として、
「遺言があるのに揉める」状況となり、
遺言の存在がかえって対立を深める要因になりました。
遺言は書けば安心、というものではありません。
事例③
「争わないと思っていた」家族信託のケース
認知症対策として家族信託を導入したものの、
将来の財産の帰属や管理の範囲について、
十分な整理がされていませんでした。
当初は問題が表面化しませんでしたが、
時間の経過とともに、
家族の立場や考え方が変わり、
信託契約をめぐる認識のズレが顕在化しました。
制度そのものではなく、
設計段階での判断が問われたケースです。
事例④
相続登記を後回しにした結果、選択肢を失ったケース
相続が発生したものの、
「急ぐ必要はない」と考え、
不動産の名義変更を後回しにしていました。
その後、
売却や活用を検討した段階で、
相続人の一部と連絡が取れなくなり、
手続きが進まなくなってしまいました。
相続登記の義務化により、
結果として時間的・心理的な負担が
大きく膨らむことになりました。
「後で考える」という判断が、
後の選択肢を狭めてしまった例です。
失敗事例に共通する点
これらの事例に共通しているのは、
- 制度を知らなかったこと
ではなく - 判断のタイミングを逃したこと
です。
相続では、
一度進めてしまった判断や、
行わなかった判断を、
後から修正できない場面が多くあります。
ここで紹介した事例は、
「こうすれば防げた」という
答えを示すものではありません。
相続は、
家庭ごとに事情が異なり、
一般論だけで再現できるものではないからです。
次に確認していただきたいページ
相続の制度全体や、
当事務所の考え方については、
以下の基幹ページで整理しています。
▶ 相続・遺言・家族信託サポート(基幹ページ)
まとめ
相続は、
財産の問題であると同時に、
家族の関係と時間の問題です。
「何を選ぶか」以上に、
**「いつ考え、どう判断を残すか」**が
結果を左右します。



