補助金の失敗事例から考える
―「通ると思っていた」が通らなかった、その背景 ―
補助金の相談現場では、
「条件は満たしていたはずなのに」
「周りが通っていたから大丈夫だと思った」
という声を多く耳にします。
以下は、特定の事業者を示すものではなく、
実際によく見られる判断の傾向を整理した事例です。
事例①
「採択されやすいと聞いた制度」を選んだケース
他社で採択事例が多いと聞き、
自社の事業内容を十分に整理しないまま
同じ補助金に申請しました。
制度の目的と事業計画の方向性に
微妙なズレがありましたが、
「書き方でカバーできる」と考えて進めてしまいました。
結果として、
事業の整合性が評価されず、不採択となりました。
問題は申請書の表現ではなく、
制度選択の判断そのものでした。
事例②
「採択率が高い」という数字だけで判断したケース
過去の採択率を根拠に
「今回は通りやすい」と判断しました。
しかし、募集回によって
応募件数や審査の重点は変わります。
結果として、
前回までとは評価軸が異なり、
想定していた結果にはなりませんでした。
数字は参考情報であって、
判断の根拠そのものにはなりません。
事例③
申請を急ぎ、事業計画が固まらないまま進めたケース
締切を優先し、
事業計画の整理が不十分なまま申請しました。
申請自体は受理されましたが、
計画の実現性や継続性に疑問が残り、
評価を得ることができませんでした。
「急ぐこと」と
「整っていること」は別の問題です。
事例④
採択後の制約を十分に理解していなかったケース
無事に採択されたものの、
事業の進め方や経費の使い方について、
制度上の制約があることを
十分に理解していませんでした。
途中で計画変更が必要になりましたが、
当初の想定どおりに進められず、
結果として負担が大きくなってしまいました。
採択はゴールではなく、
判断のスタート地点でもあります。
事例⑤
「補助金ありき」で事業を組み立ててしまったケース
補助金を前提に事業計画を立て、
採択されることを前提に
投資や準備を進めていました。
不採択となった結果、
事業全体の見直しを迫られ、
本来取れたはずの選択肢を
失うことになりました。
補助金は手段であって、
目的ではありません。
失敗事例に共通する点
これらの事例に共通しているのは、
- 書類の不備
- 制度の知識不足
ではなく、
- 補助金を使う判断そのものを
十分に整理しなかったこと
です。
補助金は、
資金を得る制度であると同時に、
事業の進め方を縛る側面も持っています。
このページの位置づけ(重要)
ここで紹介した事例は、
「こうすれば通った」という
答えを示すものではありません。
補助金は、
事業ごとに状況が異なり、
一般論だけで再現できる制度ではないからです。
次に確認していただきたいページ
補助金・助成金制度の全体像や、
当事務所の考え方については、
以下の基幹ページで整理しています。
▶ 補助金・助成金サポート(基幹ページ)
まとめ
補助金は、
「通るかどうか」を考える制度ではなく、
事業判断として使うべきかを考える制度です。
何を申請するか以上に、
いつ・どの段階で判断するかが
結果を左右します。



