2026/1/1

「制度としては成立するが、現場では成立しない」とはどういうことか

「制度としては成立するが、現場では成立しない」とはどういうことか

――2025年、清和行政書士事務所が立ち止まった理由

2026年を迎えるにあたり、

清和行政書士事務所では、2025年の一年を振り返る挨拶文を掲載しました。

その中で、

「制度としては成立しているが、現場では成立しない案件が増えた」

という表現を使いました。

少し抽象的に聞こえるかもしれません。

この記事では、その言葉の背景に、2025年に実際に何が起きていたのかを、

もう少し具体的に整理しておきたいと思います。

 

制度として「成立している」とは、どういう状態か

行政手続の世界では、

「成立している」という言葉には、比較的明確な意味があります。

  • 法令上、申請や手続きが可能である
  • 要件を満たし、必要書類が整っている
  • 窓口や審査基準との整合性が取れている

いわば、紙の上では説明がつく状態です。

専門家として見れば、

「進められます」「制度上は問題ありません」

そう言える案件です。

ここまで整っていれば、

多くの場合、手続き自体は前に進みます。

 

それでも「現場では成立しない」と感じた理由

2025年、清和行政書士事務所が違和感を覚えたのは、

その**“先”**でした。

書類は通る。

制度上も可能。

けれど、その手続きを進めた先で、

  • 生活が持たない
  • 組織が回らない
  • 半年後・一年後に破綻が見える

そう感じる案件が、明らかに増えていったのです。

制度は、

「その瞬間の可否」を判断します。

しかし、生活や事業は、時間の中で続いていくものです。

そのズレが、無視できなくなっていました。

 

具体的に起きていたこと(型として)

外国人雇用・在留資格の場面

制度上は、

在留資格の要件を満たしている。

雇用契約書も作れる。

賃金水準も最低基準はクリアしている。

それでも、

  • 受入企業の管理体制が整っていない
  • 業務理解・日本語対応が追いつかない
  • 生活支援の設計が曖昧なまま進む

結果として、

「許可は出たが、安定しない」

という状態に向かうケースがありました。

 

補助金・助成金の場面

制度上は、

要件に該当し、採択可能性もある。

しかし、

  • 実行リソースが不足している
  • 補助事業後の報告・管理が回らない
  • 補助金ありきで事業が歪んでいく

採択そのものが目的化し、

事業の継続性が見えなくなる。

そうした案件も、少なくありませんでした。

 

高齢者・住まい・生活支援の場面

法的には、

手続きとして正しい。

判断としても筋が通っている。

それでも、

  • 代替手段がない
  • 生活の立て直しが想定されていない
  • 誰も引き取らない

法的正しさが、生活の破綻を止めない

そう感じざるを得ない場面に、何度も直面しました。

 

なぜ「引き受けない」という判断が必要だったのか

行政書士の立場として、

「制度上は問題ありません」と説明することはできます。

最終判断を依頼者に委ねることも、

間違いではありません。

それでも2025年、

清和行政書士事務所では、

  • 半年後に説明できなくなる案件
  • 「分かっていて進めた」と言えなくなる案件

が増えていきました。

通すこと自体はできる。

しかし、その結果に対して、

自分の言葉で説明できなくなる感覚が残る。

その違和感を無視できなくなったのです。

 

発信やPVにも影響したという事実

この判断は、

業務の選び方だけでなく、発信の仕方にも影響しました。

分かりやすく言い切る。

安心できる答えを提示する。

そうした表現を、意識的に選ばなくなりました。

結果として、

2025年の年末、SeiwaHPのPVやアクセスは減少しました。

数字だけを見れば、不安になる変化です。

しかし同時に、

  • 誰に向けて書いているのか
  • どこまで正直でいるのか

その問いを避けずに済んだ、という感覚もありました。

 

すべての人に合う事務所ではない、という前提

清和行政書士事務所は、

すべての依頼を引き受ける事務所ではありません。

  • 早く結論が欲しい人
  • とにかく通せばいい人
  • 先のことは考えたくない人

そうした方にとっては、

回りくどく、面倒に感じられるかもしれません。

それでも、

制度と生活のズレを、なかったことにしない

その姿勢だけは、変えずにいたいと考えています。

 

おわりに

「制度としては成立するが、現場では成立しない」

この言葉は、

制度を否定するためのものではありません。

誰かを批判するための言葉でもありません。

2025年、

清和行政書士事務所が立ち止まらざるを得なかった地点を、

できるだけ正確に表した言葉です。

2026年も、

答えを急がず、

進めない判断も含めて、

制度と人の間に立ち続けたいと思います。

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